刑事法

法定的符合説とは

ほうていてきふごうせつ

行為者の認識と発生した事実が、同一の構成要件の範囲内で符合していれば故意を阻却しないとする判例・通説の考え方です。

人を殺すつもりで撃ったところ、別の人に当たって死亡させた場合に、殺人の故意を認めてよいかという問題です。

有力な2説の結論が分かれるのは方法の錯誤の場面です。

客体の錯誤方法の錯誤
法定的符合説(判例)故意あり故意あり
具体的符合説故意あり故意なし(過失+未遂)

法定的符合説は、「およそ人を殺すな」という規範に直面していた以上、当たった相手が誰であれ規範に反したことに変わりはないと考えます。構成要件は「人」という抽象化された枠で規範を示しているからです。

客体の錯誤(目の前の人を狙って撃ち、その人がAだと思ったらBだった)は、どちらの説でも故意が認められます。狙った対象に当たっている以上、具体的にも認識と結果が一致しているからです。

判例は数故意犯説をとり、意図した客体と他の客体の双方について故意犯の成立を認めます。

異なる構成要件にまたがる抽象的事実の錯誤でも、判例は構成要件が実質的に重なり合う限度で故意犯の成立を認めます。覚醒剤と麻薬を取り違えた事案で、軽い罪の限度で故意が認められた例があります。

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