行政書士/行政法

国家賠償法の択一問題と解説

難易度 3/5・出典の種別: 判例

問題

国家賠償法に関する次の記述のうち、判例に照らし正しいものはどれか。

  1. 1.国家賠償法1条1項の責任が成立するためには、加害公務員が特定されていることが常に必要である。
  2. 2.公務員個人は、国家賠償法1条1項が適用される場合であっても、被害者に対して直接に損害賠償責任を負う。
  3. 3.国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動は含まれない。
  4. 4.国家賠償法2条にいう公の営造物には、動産は含まれない。
  5. 5.国家賠償法2条1項の営造物の設置管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、過失の存在を必要としない。正解

解説

選択肢5が正解。国家賠償法2条1項の設置または管理の瑕疵とは、判例上「営造物が通常有すべき安全性を欠いていること」をいい、無過失責任と解されています(最判昭和45年8月20日・高知落石事件)。管理者の過失を要しない点が1条責任との決定的な違いです。

1が誤り:判例は、一連の行為のいずれかによって損害が生じたことが明らかで、そのいずれもが国等の公務員の職務上の行為である場合には、加害公務員が特定されなくても責任を認め得るとしています(最判昭和57年4月1日)。

2が誤り:判例は、公務員個人は被害者に対して直接責任を負わないとしています(最判昭和30年4月19日)。国等が賠償した後、公務員に故意または重過失があるときに求償できるにとどまります(1条2項)。

4が誤り:公の営造物には土地の工作物のような不動産に限らず、動産(公用車、警察官の拳銃など)も含まれます。民法717条の「土地の工作物」より広い概念です。

3が誤り:公立学校の教師の教育活動も「公権力の行使」に含まれるとされています。ここでいう公権力の行使は、純粋な私経済作用と国家賠償法2条の対象を除く、国または公共団体の作用を広く含むものと解されています。

根拠:国家賠償法1条1項、国家賠償法1条2項、国家賠償法2条1項、民法717条

判例:最判昭和45年8月20日(高知落石事件)、最判昭和57年4月1日、最判昭和30年4月19日

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