行政書士/憲法
裁判所・違憲審査の択一問題と解説
難易度 3/5・出典の種別: 判例
問題
日本国憲法における司法権と違憲審査権に関する次の記述のうち、判例に照らし正しいものはどれか。
- 1.最高裁判所は、具体的な争訟事件と関係なく、抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有する。
- 2.違憲審査権は最高裁判所のみが有し、下級裁判所は法令の違憲審査をすることができない。
- 3.国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて立法を行うというような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けない。正解
- 4.統治行為に該当する国家行為であっても、裁判所は常にその合憲性を審査しなければならない。
- 5.条約は、その内容のいかんを問わず、一切司法審査の対象とならない。
解説
選択肢3が正解。判例(最判昭和60年11月21日・在宅投票制廃止事件)は、国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらずあえて立法を行うような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けないとしました。立法行為の国賠責任を極めて限定的に解する立場です。
1が誤り:判例(最大判昭和27年10月8日・警察予備隊違憲訴訟)は、具体的な争訟事件が提起されていないのに抽象的に違憲審査をする権限を有しないとしました(付随的違憲審査制)。
2が誤り:違憲審査権は下級裁判所も有します。憲法81条は最高裁が終審裁判所であることを定めたにすぎません(最大判昭和25年2月1日)。
4が誤り:判例(最大判昭和35年6月8日・苫米地事件)は、直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為については、裁判所の審査権の外にあるとしました(統治行為論)。
5が誤り:砂川事件判決は、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外にあるとしました。裏を返せば、一見極めて明白に違憲無効といえる場合には審査の余地を残しています。「一切対象とならない」と言い切る点が判例の射程を超えています。
根拠:憲法76条1項、憲法81条、裁判所法3条1項、国家賠償法1条1項
判例:最大判昭和27年10月8日(警察予備隊違憲訴訟)、最判昭和60年11月21日(在宅投票制廃止事件)、最大判昭和35年6月8日(苫米地事件)
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