行政書士/憲法
社会権の択一問題と解説
難易度 5/5
問題
生存権に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。
- 1.憲法25条1項は、個々の国民に対して具体的権利を直接付与したものである。
- 2.何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの判断は、厚生労働大臣の合目的的な裁量に委ねられており、その判断が著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえない場合を除き、司法審査の対象とならない。正解
- 3.憲法26条の教育を受ける権利について、判例は国民の教育権説を全面的に採用している。
- 4.憲法28条の労働基本権は、公務員には一切保障されない。
- 5.生存権については、これを具体化する法律が存在しなくても、直接憲法25条を根拠として給付を請求することができる。
解説
選択肢2が正解。朝日訴訟の判示です。何が健康で文化的な最低限度の生活にあたるかは抽象的・相対的な概念であり、その具体化は厚生大臣(現・厚生労働大臣)の合目的的な裁量に委ねられる。ただし著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえない場合には司法審査の対象となる、としました。裁量を広く認めつつ司法審査の余地は残す、という構造です。
1・5が誤り:判例は、憲法25条1項は個々の国民に対して具体的権利を直接付与したものではないとし、これを具体化する生活保護法などの法律によって初めて具体的な権利が生じるとしています(プログラム規定説に近い立場)。直接25条を根拠に給付を請求することはできません。
3が誤り:旭川学力テスト事件で判例は、国民の教育権説と国家の教育権説のいずれも極端かつ一方的であるとして、どちらも全面的には採用しませんでした。国は必要かつ相当と認められる範囲で教育内容を決定する権能を有する、という中間的な立場です。
4が誤り:公務員も勤労者にあたり労働基本権の保障を受けます。ただしその地位の特殊性と職務の公共性から、職種に応じて争議行為の禁止など強い制約が課されています(全農林警職法事件)。「一切保障されない」わけではありません。
根拠:憲法25条、憲法26条、憲法28条
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