行政書士/民法
不法行為の択一問題と解説
難易度 3/5・出典の種別: 条文
問題
不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。
- 1.被害者が損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。正解
- 2.不法行為の時から10年を経過したときは、除斥期間の経過により当然に権利が消滅する。
- 3.人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から3年で時効消滅する。
- 4.不法行為による損害賠償請求権の時効期間は、債務不履行による場合と完全に同一である。
- 5.不法行為による損害賠償の請求権は、被害者が損害を知っていれば、加害者を知らなくても時効が進行する。
解説
平成29年改正で整理された分野です。生命・身体の侵害かどうかで期間が変わります。
| 主観的起算点 | 客観的起算点 | |
|---|---|---|
| 通常の不法行為 | 知った時から3年 | 不法行為の時から20年 |
| 生命・身体の侵害 | 知った時から5年 | 不法行為の時から20年 |
選択肢1が正解。通常の不法行為は724条1号のとおり3年です。
2が誤り:改正前は20年を除斥期間と解する判例がありましたが、改正により明文で「時効」と位置づけられました(724条2号)。また期間も10年ではなく20年です。時効なので更新・完成猶予の規定が適用されます。
3が誤り:生命または身体を害する場合は、主観的起算点からの期間が5年に伸長されています(724条の2)。
4が誤り:債務不履行の一般的な消滅時効は「知った時から5年/権利行使できる時から10年」(166条1項)であり、不法行為とは異なります。ただし生命・身体の侵害の場合は債務不履行でも20年(167条)となり、結果的に揃います。
5が誤り:時効の起算点は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者の両方を知った時です(民法724条1号)。どちらか一方を知っただけでは進行しません。加害者が不明の間は時効が進まない点が、この規定の要点です。
根拠:民法724条、民法724条の2、民法166条1項、民法167条
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