行政書士/民法
物権変動・対抗要件の択一問題と解説
難易度 5/5
問題
不動産の物権変動に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。
- 1.不動産の物権変動は、当事者間においても登記をしなければ効力を生じない。
- 2.取得時効が完成した後に原所有者から不動産を譲り受けた第三者に対しては、時効取得者は登記なくして時効取得を対抗することができる。
- 3.相続による不動産の取得は、常に登記がなければ第三者に対抗できない。
- 4.不動産登記には公信力が認められており、登記を信頼して取引した者は常に保護される。
- 5.不動産の二重譲渡において、単に他人が先に譲り受けたことを知っているにすぎない者は、民法177条の第三者にあたる。正解
解説
選択肢5が正解。判例は、単に他人が先に譲り受けた事実を知っているにすぎない単純悪意者は民法177条の「第三者」にあたるとし、登記を先に備えれば保護されるとしています。もっとも、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる背信的悪意者は第三者にあたらず、保護されません。
1が誤り:物権変動は当事者の意思表示のみによって効力を生じます(176条、意思主義)。登記は第三者に対抗するための要件にすぎません(177条)。
2が誤り:判例は、時効完成後に登場した第三者との関係は対抗問題になるとし、時効取得者は登記がなければ対抗できないとしています。これに対し時効完成前に所有権を取得していた者に対しては、当事者と同視され登記なくして対抗できます。完成の前後で結論が逆になる点が最重要です。
4が誤り:日本の不動産登記に公信力はありません。登記を信じて無権利者から買っても、原則として所有権を取得できません。動産の即時取得(192条)と対比されます。
3が誤り:法定相続分の範囲であれば登記なくして対抗できます。ただし遺産分割や相続させる旨の遺言によって法定相続分を超えて取得した部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できません(899条の2)。「常に」と言い切る点が誤りです。
根拠:民法176条、民法177条、民法899条の2
この論点を、確信度つきで繰り返し演習できます。
間違えた論点は記録され、次に解くべき問題として戻ってきます。
同じ分野の問題
民法のほかの論点
意思表示・法律行為・代理・時効・物権変動・対抗要件・担保物権・債務不履行・解除・債権譲渡・相殺・契約各論・不法行為・親族・相続
民法の演習へ