行政書士/行政法
行政上の強制手段の択一問題と解説
難易度 4/5
問題
行政上の強制手段に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1.行政代執行は、他人が代わってなすことのできない義務(非代替的作為義務)についても行うことができる。
- 2.行政代執行を行うには、原則としてあらかじめ文書で戒告し、代執行令書による通知をしなければならない。正解
- 3.行政上の直接強制は、行政代執行法に一般的な根拠規定が置かれている。
- 4.執行罰は、義務違反に対する制裁として一回限り科されるものである。
- 5.即時強制は、義務の存在を前提として、その義務を強制的に履行させる手段である。
解説
選択肢2が正解。代執行にあたっては、原則として相当の履行期限を定めて文書で戒告し、なお履行されないときは代執行令書により時期・執行責任者・費用の概算額を通知します(行政代執行法3条1項・2項)。非常の場合や危険切迫の場合には、この手続を省略できます(同3項)。
1が誤り:代執行の対象は他人が代わってなすことのできる義務(代替的作為義務)に限られます(2条)。営業をやめる義務のような不作為義務や、健康診断を受ける義務のような非代替的作為義務は対象外です。
3が誤り:行政代執行法が一般的な根拠を置いているのは代執行だけです。直接強制は個別の法律に規定がある場合にのみ認められます。人の身体に直接実力を加える手段であり、慎重を期すためです。
4が誤り:執行罰は制裁ではなく、義務の履行を心理的に促す手段です。したがって履行があるまで繰り返し科すことができます。この点で一事不再理が働く行政刑罰と異なります。
5が誤り:即時強制は義務の存在を前提としません。目前急迫の障害を除く必要があるなど、義務を命じる暇がない場合に直接実力を行使するものです。
| 手段 | 義務の前提 | 一般法 |
|---|---|---|
| 代執行 | 代替的作為義務 | 行政代執行法 |
| 執行罰 | 非代替的作為・不作為義務 | なし(個別法) |
| 直接強制 | あり | なし(個別法) |
| 即時強制 | なし | なし(個別法) |
根拠:行政代執行法2条、行政代執行法3条
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