司法試験・予備試験/民事訴訟法
訴訟物・処分権主義の短答問題と解説
難易度 5/5
問題
処分権主義に関する次の記述のうち、民事訴訟法の規定および判例に照らし正しいものはどれか。
- 1.一部請求であることを明示して訴えを提起した場合であっても、残部について後訴を提起することは既判力により遮断される。
- 2.原告が100万円の支払を求めている場合、裁判所は150万円の支払を命ずることができる。
- 3.訴えの取下げは、判決が確定するまでであれば、相手方の同意なくいつでもできる。
- 4.請求の放棄・認諾は、確定判決と同一の効力を有しない。
- 5.裁判所は、当事者が申し立てていない事項について判決をすることができない。正解
解説
選択肢5が正解。民事訴訟法246条の処分権主義そのものです。裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決をすることができません。訴訟の開始・審判対象の特定・終了を当事者の意思に委ねる原則です。
2が誤り:申立てを超える判決は246条に反します。100万円の請求に対して150万円を命ずることはできません(申立事項=判決事項)。逆に、80万円を認容する一部認容判決は申立ての範囲内なので可能です。
3が誤り:訴えの取下げは判決確定まで可能ですが、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続で申述をし、または口頭弁論をした後は、相手方の同意を得なければ効力を生じません(261条2項)。応訴した被告には、請求棄却判決を得る利益があるためです。
4が誤り:請求の放棄・認諾を調書に記載したときは、その記載は確定判決と同一の効力を有します(267条)。訴訟上の和解も同様です。
1が誤り:判例は、一部請求であることを明示していれば、訴訟物は明示された一部に限られるから、残部請求は既判力に抵触しないとしています。明示しなかった場合は債権全部が訴訟物となり、残部請求は遮断されます。明示の有無で結論が分かれる点が要点です。
根拠:民事訴訟法246条、民事訴訟法261条、民事訴訟法267条
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