司法試験・予備試験/商法
機関・取締役の責任の短答問題と解説
難易度 2/5・出典の種別: 条文
問題
取締役の会社に対する損害賠償責任(会社法423条1項)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ア.取締役は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。正解
- イ.取締役の会社に対する責任は無過失責任であり、任務懈怠がなくても損害が生じれば責任を負う。
- ウ.取締役の会社に対する責任は、株主総会の決議によっても一切免除することができない。
- エ.取締役が競業取引を行った場合であっても、会社に生じた損害の額の推定規定は存在しない。
- オ.取締役の責任を追及できるのは会社のみであり、株主が訴えを提起する制度はない。
解説
会社法423条1項は「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定める(アが正解)。
任務懈怠を要件とする過失責任であり、無過失責任ではない(イが誤り)。経営判断については、判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがなく、意思決定の過程・内容が著しく不合理でなければ任務懈怠とならないとするのが判例である(最判平成22年7月15日・アパマンショップ事件)。
免除については、424条が総株主の同意による全部免除を、425条〜427条が一部免除・責任限定契約を定めており、「一切免除できない」とするウは誤り。
競業取引については、423条2項が、取締役が356条1項1号の競業取引をしたときは、当該取引によって取締役または第三者が得た利益の額を会社の損害額と推定する旨を定める(エが誤り)。
また、847条の株主代表訴訟により株主が責任追及の訴えを提起できる(オが誤り)。
根拠:会社法423条1項、会社法423条2項、会社法356条1項、会社法424条、会社法847条
判例:最判平成22年7月15日(アパマンショップ事件)
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