司法試験・予備試験/商法
手形・小切手の短答問題と解説
難易度 5/5
問題
約束手形に関する次の記述のうち、手形法の規定に照らし正しいものはどれか。
- 1.手形債務者は、所持人が債務者を害することを知って手形を取得した場合であっても、前者に対する人的抗弁を対抗できない。
- 2.手形の裏書は、条件を付して行うことができる。
- 3.手形の所持人が手形を善意取得することはない。
- 4.手形行為の一部が無効であっても、他の手形行為の効力は妨げられない。正解
- 5.約束手形の振出人に対する請求権は、満期の日から1年で時効消滅する。
解説
選択肢4が正解。手形行為独立の原則です(手形法7条)。手形に複数の署名がある場合、そのうちのいずれかが無効であっても、他の署名者の債務は影響を受けません。手形の流通性を確保するための基本原則です。
2が誤り:裏書に付した条件は記載しなかったものとみなされます(12条1項)。裏書自体は有効で、条件だけが無効になります。手形取引を画一的・簡明に処理する趣旨です。なお一部の裏書は無効である点とあわせて押さえてください。
3が誤り:手形の善意取得は認められます(16条2項)。裏書の連続した手形の所持人から取得した者は、譲渡人が無権利者であっても、悪意または重大な過失がない限り手形上の権利を取得します。民法の即時取得より要件が緩やかで、流通保護が徹底されています。
1が誤り:説明が逆です。人的抗弁は原則として切断されますが、所持人が債務者を害することを知って手形を取得したとき(害意)は、人的抗弁を対抗できます(17条ただし書)。害意ある取得者まで保護する必要はないためです。
5が誤り:約束手形の振出人に対する請求権の時効期間は、満期の日から3年です(70条1項)。1年は裏書人に対する遡求権の期間です。
| 請求の相手方 | 時効 |
|---|---|
| 振出人(主たる債務者) | 3年 |
| 裏書人(遡求義務者) | 1年 |
根拠:手形法7条、手形法12条、手形法16条、手形法17条、手形法70条
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