司法試験・予備試験/商法

資金調達の短答問題と解説

難易度 5/5

問題

募集株式の発行等に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし正しいものはどれか。

  1. 1.会社の支配権をめぐる争いがある場合、現経営者の支配権維持を主目的とする新株発行も、資金調達の必要があれば適法である。
  2. 2.公開会社における募集株式の発行は、常に株主総会の決議を要する。
  3. 3.募集株式の発行が著しく不公正な方法により行われる場合であっても、株主は差止めを請求することができない。
  4. 4.新株発行の無効の訴えは、公開会社では発行の効力が生じた日から1年以内に提起しなければならない。
  5. 5.公開会社が募集株式を第三者に特に有利な払込金額で発行する場合、株主総会の特別決議を要する。正解

解説

選択肢5が正解。公開会社であっても、募集株式を特に有利な払込金額で発行する場合(有利発行)には、株主総会の特別決議が必要です(会社法201条1項・199条3項)。既存株主の持分価値が希釈されるためです。

2が誤り:公開会社では、募集事項の決定は原則として取締役会の決議で足ります(201条1項)。機動的な資金調達を可能にする趣旨です。株主総会の特別決議が原則となるのは非公開会社のほうです。

募集事項の決定
公開会社取締役会(有利発行は株主総会特別決議)
非公開会社株主総会の特別決議

3が誤り:法令・定款違反または著しく不公正な方法による募集株式の発行等により株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は会社に対し差止めを請求できます(210条)。

4が誤り:新株発行無効の訴えの提訴期間は、公開会社では6か月以内、非公開会社では1年以内です(828条1項2号)。取引の安全を重んじる公開会社のほうが短く設定されています。

1が誤り:判例は、支配権維持を主要な目的とする新株発行は著しく不公正な方法にあたるとしています(主要目的ルール)。資金調達の必要性が併存していても、支配権維持が主目的であれば不公正発行と評価されます。

根拠:会社法199条、会社法201条、会社法210条、会社法828条

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