司法試験・予備試験/行政法
行政裁量の短答問題と解説
難易度 5/5
問題
行政裁量に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。
- 1.裁量処分については、裁判所は行政庁の判断に代わって自ら結論を出し、その当否を審査する。
- 2.裁量権の行使において考慮すべき事項を考慮せず、または考慮すべきでない事項を考慮した場合、当該処分は違法となりうる。正解
- 3.行政庁が定めた裁量基準は法規命令であるから、これに違反する処分は当然に違法となる。
- 4.専門技術的な判断を伴う処分については、裁量が認められないのが原則である。
- 5.在留期間更新の許否について、法務大臣に裁量は認められない。
解説
選択肢2が正解。他事考慮・考慮不尽は裁量権の逸脱・濫用を基礎づける典型的な審査手法です。判例(日光太郎杉事件)は、本来最も重視すべき諸要素を不当に軽視し、考慮すべきでない事項を考慮した点を捉えて処分を違法としました。
1が誤り:裁量処分について裁判所が行うのは、行政庁の判断に代わって結論を出す判断代置ではなく、裁量権の逸脱・濫用があったかどうかの審査です(行政事件訴訟法30条)。判断代置的な審査が行われるのは、原則として羈束行為の場合です。
3が誤り:裁量基準(審査基準・処分基準)は行政規則であって法規命令ではありません。したがって基準違反が直ちに違法となるわけではありません。もっとも判例は、平等原則や信頼保護の観点から、合理的な理由なく基準と異なる取扱いをすれば違法となりうるとしています。
4が誤り:逆です。専門技術的な判断を伴う処分ほど、行政庁の判断が尊重される傾向にあります(伊方原発訴訟など)。ただし判断の過程に看過しがたい過誤・欠落があれば違法となります。
5が誤り:マクリーン事件で判例は、外国人の在留の許否は国の裁量に委ねられ、法務大臣の判断が全く事実の基礎を欠くか社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り違法となるとしました。広い裁量が認められています。
根拠:行政事件訴訟法30条
この論点を、確信度つきで繰り返し演習できます。
間違えた論点は記録され、次に解くべき問題として戻ってきます。
同じ分野の問題
行政法のほかの論点
行政行為の効力・瑕疵・行政裁量・行政手続法・処分性・原告適格・訴えの利益・国家賠償法
行政法の演習へ