司法試験・予備試験/行政法
訴えの利益の短答問題と解説
難易度 5/5
問題
取消訴訟における訴えの利益に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。
- 1.処分の効果が期間の経過により消滅した後は、いかなる場合も訴えの利益は失われる。
- 2.建築確認の取消しを求める訴えは、当該建築工事が完了した後においても訴えの利益を失わない。
- 3.免職処分を受けた公務員が公職の候補者として立候補した場合、公務員の地位の回復を求める訴えの利益は失われるが、給与請求権に関する訴えの利益は残る。正解
- 4.処分の取消しによって回復される利益が名誉・信用にとどまる場合であっても、常に訴えの利益が認められる。
- 5.土地収用の事業認定について、収用裁決がなされた後は事業認定を争う訴えの利益は必ず失われる。
解説
選択肢3が正解。判例は、免職処分を受けた公務員が公職の候補者として届出をすると、法律上公務員の職を辞したものとみなされるため公務員としての地位の回復を求める訴えの利益は失われるが、免職処分がある限り支給されない給料の請求権を回復するという利益は残るとして、訴えの利益を認めました。
1が誤り:行政事件訴訟法9条1項かっこ書は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者を含むと定めています。「いかなる場合も失われる」わけではありません。
2が誤り:判例は、建築工事が完了した後は建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるとしています。建築確認は工事を適法に行わせる法的効果を持つにとどまり、完了後にこれを取り消しても、すでに行われた工事を違法とする効果は生じないためです。
4が誤り:判例は、回復される利益が事実上の名誉・信用にとどまる場合には訴えの利益を否定する傾向にあります。「常に認められる」わけではありません。
5が誤り:事業認定と収用裁決は違法性の承継が問題となる場面であり、裁決後も事業認定の違法を主張する余地が認められています。「必ず失われる」とは言えません。
根拠:行政事件訴訟法9条
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