司法試験・予備試験/刑法
財産犯の短答問題と解説
難易度 3/5・出典の種別: 基本判例
問題
窃盗罪における不法領得の意思について、判例の立場として最も適切なものはどれか。
- ア.不法領得の意思は不要であり、占有侵害の故意があれば足りる。
- イ.不法領得の意思は、毀棄罪との区別のためにのみ機能し、使用窃盗との区別には関係しない。
- ウ.不法領得の意思とは、財物を永久に自己のもとに留め置く意思に限られる。
- エ.権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用処分する意思をいう。正解
- オ.他人の物を一時的に使用する意思があれば、それだけで不法領得の意思が認められる。
解説
判例(大判大正4年5月21日ほか)は、窃盗罪の主観的要素として、故意のほかに不法領得の意思を要するとし、その内容を「権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用処分する意思」と定義する(エが正解、アが誤り)。
この定義は二つの要素に分解される。
- 権利者排除意思(前段):可罰的な窃盗と、不可罰の使用窃盗とを区別する機能。一時使用でも、返還意思が乏しく権利者の利用を著しく妨げる場合には肯定される(最決昭和55年10月30日)。
- 利用処分意思(後段):窃盗罪と毀棄・隠匿罪とを区別する機能。単に壊す目的で持ち去った場合は窃盗罪ではなく器物損壊罪等となる。
このように両方の区別機能を有するため、イは誤り。永久に留め置く意思までは不要であり(ウが誤り)、逆に一時使用の意思があればただちに肯定されるわけでもない(オが誤り)。
根拠:刑法235条、刑法261条
判例:大判大正4年5月21日、最決昭和55年10月30日
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