司法試験・予備試験/刑法
責任能力の短答問題と解説
難易度 4/5
問題
責任能力に関する次の記述のうち、刑法の規定および判例に照らし正しいものはどれか。
- 1.責任能力の有無は、専ら精神医学的な鑑定結果によって決まり、裁判所の判断が及ぶ余地はない。
- 2.心神耗弱者の行為は、罰しない。
- 3.14歳に満たない者の行為であっても、是非弁別能力があれば罰することができる。
- 4.心神喪失者の行為は、罰しない。正解
- 5.自ら精神障害を招いて犯行に及んだ場合、原因において自由な行為の理論によっても、完全な責任を問うことはできない。
解説
選択肢4が正解。心神喪失者の行為は、罰しません(刑法39条1項)。精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力、またはその弁識に従って行動する能力を欠く状態をいいます。
2が誤り:心神耗弱者の行為は、刑を減軽します(39条2項)。罰しないのではありません。喪失と耗弱で効果が異なります。
| 効果 | |
|---|---|
| 心神喪失 | 罰しない(責任阻却) |
| 心神耗弱 | 刑を減軽 |
3が誤り:14歳に満たない者の行為は罰しません(41条)。これは個別の弁別能力を問わない画一的な規定であり、是非弁別能力があっても刑事責任は問えません。少年法上の保護処分の対象となり得るにとどまります。
1が誤り:判例は、被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失または心神耗弱にあたるかどうかは法律判断であって、専ら裁判所に委ねられるとしています。鑑定は重要な資料ですが、裁判所を拘束するものではありません。
5が誤り:原因において自由な行為の理論は、責任能力のある原因設定行為の段階に非難の根拠を求めることで、結果行為時に責任能力が低下していても完全な責任を問うことを認めるものです。「問うことはできない」は結論が逆です。
根拠:刑法39条、刑法41条
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