司法試験・予備試験/民法

物権変動・対抗要件の短答問題と解説

難易度 3/5・出典の種別: 基本判例

問題

民法177条の「第三者」に関する次の記述のうち、判例の立場として最も適切なものはどれか。

  1. ア.177条の第三者とは、当事者およびその包括承継人以外の者のすべてをいい、無権利者も含む。
  2. イ.不法占拠者も登記の欠缺を主張する正当な利益を有するため、177条の第三者に当たる。
  3. ウ.単なる悪意者は177条の第三者に当たらず、登記なくして対抗できる。
  4. エ.背信的悪意者からの転得者は、常に177条の第三者に当たらない。
  5. オ.不動産登記法5条に該当する者や、実体上物権変動があった事実を知る者であっても、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情がない限り、なお177条の第三者に当たる。正解

解説

判例は177条の「第三者」を、当事者及びその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者に限定する(制限説)。したがって、無権利者や不法占拠者はこれに当たらない(ア・イが誤り)。

主観的態様については、単なる悪意者は第三者に当たる(登記なくして対抗できない)のが原則であり、ウは誤り。もっとも、登記の欠缺を主張することが信義則に反すると認められる背信的悪意者は、例外的に第三者から除外される(背信的悪意者排除論)。オはこの原則と例外の関係を正確に述べている。

なお、背信的悪意者からの転得者については、判例(最判平成8年10月29日)は、転得者自身が背信的悪意者と評価されない限り第三者に当たるとする(相対的構成)ため、「常に」当たらないとするエは誤り。

根拠:民法177条、不動産登記法5条

判例:最判昭和43年8月2日、最判平成8年10月29日

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