司法試験・予備試験/民法
時効の短答問題と解説
難易度 5/5
問題
時効に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし正しいものはどれか。
- 1.時効の利益は、あらかじめ放棄することができる。
- 2.後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
- 3.時効の完成後に債務者が債務を承認した場合、その後にその時効を援用することは、信義則に照らし許されない。正解
- 4.催告があったときは、その時から10年間は時効が完成しない。
- 5.所有権は、20年間行使しないときは時効によって消滅する。
解説
選択肢3が正解。判例は、時効完成後に債務者が債務の承認をした場合、時効完成の事実を知らなかったときでも、その後に時効を援用することは信義則上許されないとしました。相手方に時効を援用しないとの期待を抱かせるためです。
1が誤り:時効の利益はあらかじめ放棄することができません(民法146条)。放棄を認めると、債権者が優越的な地位を利用してあらかじめ放棄させることが横行し、時効制度が骨抜きになるためです。時効完成後の放棄は可能です。
2が誤り:判例は、後順位抵当権者は先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないとしました。先順位抵当権が消滅すれば順位が上昇して配当額が増える可能性はありますが、それは反射的な利益にすぎず、時効により直接利益を受ける者にあたらないためです。
4が誤り:催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(150条1項)。10年ではありません。また、催告によって完成が猶予されている間に再度催告をしても、猶予の効力は生じません。
5が誤り:所有権は消滅時効にかかりません(166条2項が対象とするのは債権または所有権以外の財産権)。他人が時効取得した結果として反射的に失われることはありますが、所有権自体が時効消滅することはありません。
根拠:民法145条、民法146条、民法150条、民法166条
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