司法試験・予備試験/民法
契約各論の短答問題と解説
難易度 5/5
問題
契約各論に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし正しいものはどれか。
- 1.受任者は、いつでも委任契約を解除することができるが、委任者は解除することができない。
- 2.賃借人は、賃貸人の承諾を得なくても賃借権を譲渡することができる。
- 3.請負契約において、仕事の目的物に契約不適合がある場合、注文者は常に契約を解除することができる。
- 4.売主が種類または品質に関して契約不適合の目的物を引き渡した場合、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、原則として履行の追完の請求等をすることができない。正解
- 5.組合契約については、同時履行の抗弁および危険負担の規定が適用される。
解説
選択肢4が正解。種類または品質に関する契約不適合について、買主は不適合を知った時から1年以内に通知しなければ、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除をすることができません(民法566条)。ただし売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失により知らなかったときは、この制限は適用されません。
なお数量に関する不適合および権利に関する不適合には、この期間制限は適用されません。種類・品質だけが対象である点が問われます。
2が誤り:賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲渡し、または賃借物を転貸することができません(612条1項)。無断で譲渡・転貸して第三者に使用収益させたときは、賃貸人は契約を解除できます。ただし判例は、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できないとしています。
3が誤り:解除には債務不履行解除の一般規定が適用され、不履行が軽微であるときは解除できません(541条ただし書)。「常に解除できる」わけではありません。
1が誤り:委任は各当事者がいつでも解除できます(651条1項)。受任者だけでなく委任者も解除できます。当事者間の信頼関係を基礎とする契約だからです。ただし相手方に不利な時期に解除した場合等には損害賠償義務が生じることがあります。
5が誤り:組合契約については、同時履行の抗弁(533条)および危険負担(536条)の規定は適用されません(667条の2第1項)。組合は複数人が共同事業を営むための団体的な契約であり、双務契約の対価的牽連関係を前提とする規定になじまないためです。
根拠:民法533条、民法566条、民法612条、民法651条、民法667条の2
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